喪失と白ひげ
- 青い彗星のあお
- 2024年4月3日
- 読了時間: 3分

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むかしむかし あるところに
こじんまりとしたカフェ・レストランがありました。
そのお店はサービスもよく、こだわりのメニューはたいへん好評でした。
ガソリンスタンドに併設されたお店だったので、多くのドライバーたちのオアシスでした。
ある時、新しい道路の完成を機に客足が遠のき、たちまち経営が傾きました。
店主は20年以上、雨の日も風の日も続けたお店を泣くなく閉じることになりました。
店主は当時、65歳。
何もかもを失い、無一文になりました。
店主は失意のなか、友人にかつて彼のお店で提供していたメニューを振舞います。
店主の友人は、その美味しさに感動し、是非レシピを教えてほしいと懇願しました。
_____そうか。私にはオリジナルレシピがあるじゃないか。
また違うかたちで、人を喜ばせることができるはず。
このメニューを「ケンタッキー・フライドチキン」と命名。
後に世界中に展開するフランチャイズ。第一号店の誕生です。
カーネル・サンダースはその後、各地のレストランに怒涛の飛び込み営業を展開する。
秘伝のレシピだけを携えて…。
今や、カフェの元店主であるカーネルおじさんを知らない人はいないでしょう。
めでたし めでたし
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皆さんお馴染みの、白色の割合が異様に多いおじいさんの逸話を記しました。
あまりにも身近なお店のことなので、初めてこのストーリーを知った時には驚きました。
そうか、苦難があってもあきらめてはならない。
いつでもいつからでも、年齢に関係なく情熱を燃やすんだ。
チャンスはきっとそこにある…。云々。
彼のサクセスストーリーはそんなことを教えてくれそうです。
また、実際そうでしょう。
ただ、僕はこの日記でこのストーリーを見つめる別視点を加えたい。
「喪失」あるいは「剥奪」(がもたらすもの)です。
カーネルは彼の愛したお店を奪われることで、転落した。
だけど、喪失があったから新しい道が開けたとも言えないでしょうか。
彼の「不幸」が、海を越え僕にあの美味しいチキンを届けてくれたのですから不思議です。
飛躍しすぎでしょうか。
僕はセラピストを志すまでに紆余曲折ありました。
今日まで至ること全ては、まったく予想外の展開でした。
たった2年前の自分は、セラピストを生業とする現状の暮らしを、微塵も想像していませんでした。
今でも「ご縁の妙」にただただ、驚嘆します。きっかけは喪失でした。
ぽっかり空いた穴に濁流のようなエネルギーが生じる経験は新鮮でした。
僕個人の経験を以ても「失った」と感じるとき、外的環境においても、精神面においても化学反応と活発な代謝が生じます。
「何かが生まれる瞬間では_____。」
既存のものを手放すことで、手元に残ったアセットが結晶のような輝きを放つ。
そう信じて歩みを止めないでいれば、勇気が湧いてくる。
と、僕は感じてます。
だから、きっと大丈夫。
僕らは何かの「途中」なのだから…。
そもそも人体そのものが何かを失い、何かを得るという絶え間ない連続で形を保っています。
それが摂理。
それが人間という小宇宙。
僕と超新星爆発起こしませんか?
地球誕生の瞬間であります。
今日ケンタッキーにしない? あお